img_illust_10今回は腰痛に悩んでいる患者様に、治療院でも多く対応させて頂き、プライベートでも、腰痛に悩んでいる方々の相談を受け、感じた事を書いていこうと思っています。

まず腰痛はこれだけ科学技術が進歩し、高度な画像診断や検査が行えるようになった現代の医療現場でも腰痛の85%は、明らかな原因を特定しにくい非特異的腰痛と認識されているのが現状です。

腰痛は骨や関節、椎間板の変形だけで起こる場合は少なく、それらの要因に、心理・社会的要因(ストレス、生活習慣など)が加わって起こる事の方が多いと言われています。

腰痛の痛みは大まかに3種類に分類されます。

1.侵害受容性疼痛
重い物を持って急に腰を捻った時などに、筋肉や靭帯など、体の一部が損傷し、炎症が起き痛みが出る。

2.神経障害性疼痛
炎症とは関係無く、神経が何らかの原因によって働きが悪くなる事によって起こる。こちらは、神経のC繊維による過剰興奮が、原因の一つに考えられます。(まれにウィルスなどによる障害もあり)神経のC繊維による過剰興奮については、以前のコラム 成功する肩こり治療の法則 でご説明させて頂いていますので、そちらを参考にお願い致します。

3.非器質性疼痛
ストレスなどが原因で、痛みが脳に知覚され起こる。不安・ストレスなどにずっとさらされていると、人間の体の痛みを抑えるシステムである、下行性疼痛抑制系がうまく働かなくなり、強い痛みが出る。椎間板ヘルニアがレントゲン上でみつかっても、症状が出る人と出ない人がいるのは、心理・社会的な因子のない、下行性疼痛抑制系が正常に働いている人と、ストレス・不安に長期さらされ、下行性疼痛抑制系の働きが落ち、痛みを感じる人との違いが出て、痛みを訴える人と痛みを訴えない人が出ていると考えられています。

人間の体には 下行性疼痛抑制系 という、ある程度の痛みをブロックする システムがあり、その機能を高める事が、腰痛の85%を占める非特異的腰痛の治療には重要と考えられています。それには下行性疼痛抑制系がよく働き、痛みに対して耐性の強い状態になるよう、日頃からストレス、不安にさらされないリラックスした状態、楽しみや期待がある生活を過ごせるよう心がける事が大切です。

それと同時に科学的根拠のある治療も重要です。非特異的腰痛に対する、最も科学的根拠の高い治療は運動療法です。体を動かす事によっても、痛みを抑制する下行性疼痛抑制系が活発になるからです。

欧米での非特異的腰痛のガイドライン 慢性非特異的腰痛管理ヨーロピアンガイドライン(2006)にも、指導者付き運動療法は、第一選択治療と記載されています。

成功しやすく再発しにくい腰痛治療は、症状・状態に合わせた運動療法を、無理なく日常生活で行って頂き、下行性疼痛抑制系を活性化させ、痛みをブロックする機能を高める事です。日本でも今後主流になる腰痛治療は、患者様にも自分で治せるという意識を持って頂き、治療と合わせて、日常生活でも運動療法を行い、改善していくような治療になって行くと考えられます。

当院では非特異的腰痛に対して、症状や患者様の状態に合わせた運動療法を、カウンセリング後や施術後、しっかりご説明し日常生活の中で無理なく行えるようお伝えしております。運動療法に加え、腰痛の治療内容や症状をわかりやすく説明し、負荷が少なく効果の大きい手技療法と、最新式の物理療法機器で症状改善を目指します。

筋肉や靭帯など、体の一部が損傷し炎症が起き痛みが出る 侵害受容性疼痛 と判断した際は、湿布やコルセット固定など、炎症反応を抑える施術を行い、炎症が引いた後に、運動療法を開始する期間をご説明させて頂いております。

腰痛にお悩みの方がいらっしゃいましたら、お気軽に当院に御相談ください。

また、医師の診断が必要な場合には、提携先クリニックをご紹介しております。

最後に基本的な話になりますが、腰痛の症状を改善させるには、治療と合わせて、適度な運動と、ストレスの無い健康的な生活を心がける事も大切だと実感しております。

コスモ整骨治療院 院長